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おやこ学部
おやこ学部 参加者インタビュー①「我が家にとって無くてはならない存在です」

原っぱ大学に通う子どもたちは文句なしに遊びの天才ばかり。やってみたいという好奇心。やりたくないという自由意志。感性そのまま、心の向くままに過ごす子どもたちが生み出す時間は、本当に最高なんです。そんな子どもたちの面白かわゆいエピソードは語り尽くせぬほどあるのですが、それと同じくらい、大人にだって物語が在る。家族それぞれの物語が在る。

今回は、東京都在住の半田ファミリーにお話を伺いました。

息子が親と離れて過ごせるのは原っぱ大学だけ

ママ:
実は、息子が私達から離れられるところは原っぱ大学だけなんです。打ち解けるのに時間がかかるので、小さい頃は同じ遊び場に何度も連れて行くことでやっと慣れて、少しずつ安心して、少しずつ好きになるという具合に。原っぱ大学でも、慣れてきてからは私たちは意識的に離れるようにしていました。スタッフさんたちは、うまく話しかけてくれるので、いつの間にか息子も慣れて心を許していったように思います。最初は「ビー玉を転がしに行ってる」感じでしたが(山のピタゴラエリア)今では何でも楽しめるようになったと思います。

パパ:
僕が引っ込み思案のままだと、息子もそのまま引っ込み思案になるだろうな、と思って僕自身も思いっきり遊んでいます。膝に乗せてガンガン泥滑り台を滑っているうちに息子も開花していたというか。日頃からああいう遊びをするわけではないですけど(笑)僕は仕事柄、普段行かない場所に出向くことが多いので、自分から探さなくても勝手にイベントごとが舞い込んでくるような日々なんです。原っぱ大学もそうでしたけど、楽しいことは妻が見つけてきてくれるんです。そうやってせっかくもらったチャンスなので、いつも通り過ごすのではなくて思い切りやってみたほうが良いじゃないですか。僕がそんな気持ちで泥だらけになって、それが面白くて、更に息子がそれを見て楽しくなってくれたら良いなと思います。

最近、何故か他の子どもたちと遊ぶことも増えてきています。 基本的に「やっつけられ役」なんですけど、「遊んでくれるおじちゃん」と思われているのでしょうか。冬の餅つきの時は息子がスタッフさんたちと雪合戦をしている間、僕は他の子と必死にロングピタゴラの設置をしていました。僕ら家族は今まで別行動が少ない方だったので、息子の姿を遠くで見て「こういうの良いなぁ」と思いました。自然な流れで別行動をしていたあの日は印象的でした。

ママ:
先日の「原っぱリンピック」の日も、我が家は遅れて行ったものの、息子がすぐに皆の中に入っていったので、あのような一幕一幕がジーンときます。すっかり皆さんのことを信頼していると思うと嬉しいですね。土砂降りの中(!)つくばの開拓イベントにも参加しましたが、みんなでひとつのことをすることも楽しめるようになって、年齢と活動がフィットしてきたと思いました。

原っぱ大学のユーモアセンスがツボ!お父さんお母さんにとっての楽しみは?

パパ:
原っぱ大学はとにかくユーモアがあるので、それでつい僕らも乗り気になってしまうんです。やることやネーミングにものすごいセンスがあって、言葉の響きもツボです。地域通貨としての「DORO紙幣」「木のメダルをもらえる特典」とか、ユーモアがすごくあるんですよね。活動だけではなく、僕らはそういうところでもとても楽しめています。

昨年の息子の七五三の時は、この「DORO紙幣」を使って原っぱ大学の山で記念撮影をしました。手作りの鳥居でお参りをして。「原っぱのお山で七五三」は最高でした!

先程の、泥が自宅に届く「はコらっぱ」で指令が出された自宅で泥風呂に入るなんて!驚くけどつい「じゃあやってみるか…」と乗ってしまう。早くみんなとリアルに会いたいという気持ちが増していた頃に、家に泥が送られて来たということもあったのでしょうけれど、センスの良い提案をしてもらって面白いと思えたから。

山でめちゃくちゃに泥を浴びるようになったのは、そこからだと思います。もはや「泥を浴びないと損だ」と思うぐらいになっていました。海に全身の泥を落としに行った時に海水が真っ黒になったのを見て、スタッフさん達が「ガンジス川だ」とはしゃぐこととか、最高です!

僕にとって原っぱ大学は、自分が求めていることが「一石三鳥」ぐらいで出来る日になっています。

まず都会を離れたいということが叶う、山を登って気持ちが良い、普段やらないことが出来る。親の目線と言うよりは一人の人間として楽しんでいます。息子のために時間を費やしている感覚は無いです。息子がハッスルして遊ぶのを見ることが、今は何より嬉しいし、楽しいことですけど、大人だけで遊ぶSUPの企画にも参加したりして、結局息子のためでもなんでもなく、自分が楽しんでいます。

ママ:
私は自分自身が山に行くと癒されます。冬は寒いのでちょっとひるみますけど、行くとやっぱり気持ちが良いです。リフレッシュして帰って来れます。考えてくださっている色々な企画は、どれもその時その時で違った面白さがあります。先日の原っぱリンピックで、「自分の感覚で20分経ったら帰ってくる、体内時計選手権」というのをやったんですけど、あれは本当に面白かったです!たったあれだけのことでも、こんなに面白いのかー!と思いました。

原っぱ大学は「インテリ過ぎず」「オシャレ過ぎず」私たちにとってちょうど良いんです。通い始めの頃は、せっかく来たんだから染め物やろうよ!とか、企画は全制覇しなくちゃとか、きっちりスケジュールをこなしたい気持ちがあったんですけど、だんだんと力が抜けてきて、自分も変わってきたことを感じます。「やってもやらなくても良い」という原っぱ大学のスタイルが少しずつ染み付いてきたのかも知れません。

長いお付き合いの半田家に思い切ってお聞きします!飽きることはありませんか!?

パパ:
飽きたことはないですね。子どもはどんどん変わっていきますし。2歳の頃はまだハラハラして見ていなくちゃいけませんでしたけど、それが今は離れて過ごす楽しみ方に変わりましたし。それに、まだ出来ていないこともたくさんある。これからもっと色々なことが出来るようになるのかと思うと、まだまだ飽きる様子はないです。

原っぱ大学には、ひとつのテーマとして「自由をどう楽しむか」がある。企画はあるけれど、やるもやらないも自由ですよね。この感覚は僕らには今までなかったので、そこがとても刺激的だと思っています。息子が、自由の中で何をチョイスするのかを見ていて面白いです。

の活動に参加するかは、息子に選んでもらうようにしていたので、親が面白そうと思った日でも、その日息子がどうしても工作がしたいと諦めたことがありました。でも最近は僕が絶対面白そう!と思ったものがあれば、意見を出して話し合います。「これ、絶対おもしろいぞ。他ではなかなかできないぞ!」とつい熱く誘います。(笑)

親としてこういうカリキュラムだからやろうということではなく、フラットな目線で話し合っています。

ママ:
何かやろうとする時に、やる前に「やめておきな」ではなくて、まずやらせてくれる。危ないこともあるけれど「まずはやってみる」という経験ができる。逆に自分でやり始めたことをやり切るまでは、見事に見守られます。正直、昨年冬の餅つきで竹が全然切れない時に誰も助けてくれなかった時は大変でしたけど(笑)

スタッフさんがやってしまえば簡単に終わってしまうところを、自分でやるという面白さが最高でした。冬はわりとのんびり予約をとっていましたけど、これからの季節はどんどん埋まってしまう時期ですから、まだまだ楽しみに活動をチェックします!

原っぱ大学の帰り道に心底思いました。「息子は本当に幸せだ」

ママ:
息子が基本的にどの日に参加したいか選びますけど、タイトルだけでは内容がよく分からないまま「それは行かない」と言ったりするので、夫と同様、私も時々推します。それが、先日のロケットを海で飛ばすという日でした。息子の意見を聞かずにその時ばかりは勝手に予約してしまいました。本人はイメージがつかなかったと思いますけど、ビーチでロケットを飛ばすなんて絶対に面白いから!と説得しました。実際とっても楽しかったし、ロケットを飛ばした時ものすごく感動しました。私も子どもの頃にこういうことやってみたかったです。最高に楽しかったです。

パパ:
あの日の帰りに、「うちの息子って本当に幸せだな」と心底思いました。。

たまたま撮っていたロケットを飛ばす動画がスローモーションになっていたんですけど、それがものすごく格好良かったんです。テレビの奥の世界を体験できたような日でした。

ニュースのワンコーナーで見たことのあるようなことを原っぱ大学はやってくれるので、憧れすら感じます!
以前、丸木船をみんなで作っていましたよね。僕らも、大きなものをみんなで作ることをこれからしてみたいです。泊まり込んで火の番をするなんて最高に楽しそう。原っぱ大学では安心して教えてもらえるので、何かひとつ、大きなものを作る目的の中で道具の使い方を覚えることが出来たら嬉しいです。

ママ:
今回インタビューをしてもらったことで、やっぱり原っぱ大学は我が家にとってなくてはならない存在なのだなぁと改めて思いました。危ないことや、「これはダメだ!」ということを、きちんと大人が怒ってくれるところもありがたいと思っています。息子や他のお子さんのことを下の名前で呼んでくれて、親しみをこめてしっかり怒ってくれる。なかなかない環境だと思います。私はどんなエキセントリックなものでも大好物なのでこれからも「ぶっ飛んだ」企画を是非お願いしたいです。

(2022年5月4日のインタビューを再編集して掲載)

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